泣き崩れる萩野公介に胸熱。ひとりで背負うな、あと1レース頑張れ! (3ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi  photo by Kyodo News


 私は個人的に、日本代表に入ってくるような選手に「精神的に弱い」奴なんていないと思っている。皆それぞれにハードなトレーニングを乗り越えて、その舞台までたどり着いている。決勝や大事な時に自分の泳ぎができない選手はそりゃいるし、そんな時もある。でも、それは「慣れ」と考え方の「癖」だ。世界の舞台に慣れて、レース前のプレッシャーのかかるシチュエーションで自分の考え方さえコントロールできれば、ベストパフォーマンスはできる。

 今回のメダル獲得で小関と渡辺は「俺たちはできる」と実感できたと思う。その自信が次の挑戦へのエネルギーになる。彼らが金メダルを獲る日を楽しみにしたい。

4×200mリレー決勝レースを終えて、引き揚げてくる萩野公介(手前)4×200mリレー決勝レースを終えて、引き揚げてくる萩野公介(手前)
 この日最後の決勝となった男子4×200mフリーリレーはよく頑張った。7分07秒68で5位入賞だ。

 第1泳者、萩野公介は自己ベストから2秒遅れたが、第2泳者、江原騎士(ないと)は予選も決勝も1分46秒台で泳いでくれた。第3泳者、天井翼と第4泳者、松元克央(かつひろ)はそれぞれ予選のタイムから1秒上げてきた。

 何より5位という順位で、あれだけ悔しそうにしている彼らを見て、確実に日本の自由形選手が目指すものは変わってきたと感じた。5位という成績は2年前までなら、健闘したと言われる順位だが、昨年の五輪でメダルを獲ったことで、みんなの目標が上がっている。江原は「メダルと獲らないと楽しくないです」と言い放ったし、天井と松本に余裕を持って泳いでもらうために、予選から積極的に泳いで五輪メダリストとしてチームを牽引してくれた。

 前日のレースになるが、女子自由形の選手たちも変わり始めている。五十嵐千尋、池江璃花子、青木智美、高野綾で挑んだ日本は約2秒、日本記録を更新して5位入賞。大健闘してくれた。インタビューでは私たちもメダルを獲りたいと語ってくれた。

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