萩野公介は無念の銀。日本勢は400mで「カリシュの壁」を崩せるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao

 しかし、迎えた決勝での萩野の泳ぎは、準決勝までのような軽快さとキレがなくなっていた。

 最初のバタフライでは先行したものの、2番手につけたワン・シュン(中国)との差は、一緒に泳いだ準決勝よりも小さい0秒30。次の背泳ぎも29秒19かかり、平泳ぎでは追い上げてきたカリシュに逆転された。最後の自由形で追い上げをみせたが、カリシュに0秒45届かない1分56秒01で2位という結果になった。

「悔しいですね。予選や準決勝の方が楽に速く泳げていたのに、(決勝は)頑張った分遅くなってしまったのは非常にマイナスだと思います」

 前日の準決勝を泳いで警戒したのは、リオデジャネイロ五輪400m個人メドレー2位のカリシュが平泳ぎで見せる爆発的な速さだ。それに対抗するためには前半のバタフライと背泳ぎで、安全圏まで離しておかなければいけない。そのことを意識し過ぎたために動きが硬くなったのかもしれない、と萩野は決勝の泳ぎを振り返る。

「背泳ぎの29秒1も遅かったですね。準決勝は最後のフリーのことを考えて予選よりテンポを遅くしたけど、予選とタイムは変わらなかった。決勝は、予選、準決よりも前半を速く行きたかったので、そのフォームの感じのままで上げていこうと思ったのに、それがうまくいかなかった。結果的に予選と準決勝の方がいい泳ぎができていたので、本当にトータルの力が今はないということです」

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