「恐怖の種目」200mバタフライのキツさを、スペシャリストが語る (4ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Enrico Calderoni/AFLO SPORT)

 また、2着に入った地元のシェー選手も31歳という大ベテランで、この「キツイ」200mバタフライを泳ぎ続けていることだけで、尊敬に値する。しかも地元開催の世界水泳で銀メダルを獲った。

 私も32歳まで現役を続けたが、200mバタフライではもともと後半が得意だったのに、ロンドン五輪以降はラスト50mがどんなに練習しても全然タイムが上がらなくなった。あの怪物マイケル・フェルプスでさえ、引退する前の数年は最後バテるようになっていた。最後バテるとわかっていながらレースをする怖さは半端じゃない。今回優勝したチャドもシェーもその恐怖との戦いがあったと思う。

 私の競技人生を振り返ってみても、後半バテなかった時期は選手としていい時期だったんだな、と今になって思う。

 日本人選手に話を戻すが、瀬戸には早く54秒の壁を突破してほしいと思うし、坂井は今回、コンディションが合わなかったが、実力のある選手であることは間違いない。選手として"いい時期"である間に、なんとかこの種目で世界大会日本人初の金メダルまで辿り着いてほしい。


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