4位も納得。アメリカ単身生活で入江陵介の「復活計画」が順調に進む (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao

「久しぶりに記録も53秒0台まで来て、プラン通りの準決勝だったと思います。決勝は、かなり競ることも予想されるので、その中でも負けないという強い気持ちを持って、持ち味である後半を生かす泳ぎをしたいと思います」

 メダルとなると52秒台に入るだけではなく、中盤まで持っていく必要があると入江は話した。メダルを狙う選手たちは、前半を遅くても25秒5くらいで入るだろうから、その泳ぎに引っ張ってもらって25秒7くらいで折り返し、ラスト15mで食らいついていけるようなレースをしたいと考えていた。

 しかし、決勝では前半は少し慌てるような泳ぎになってしまった。今季、世界ランキング1位の徐嘉余(中国)の前半25秒12を筆頭に、4位までが25秒60以内で折り返す。その中で入江は、25秒83で5番手。そこから前を追ったものの、後半の50mは準決勝と同じ27秒20にとどまり、結局53秒03で4位。3位になったリオ五輪優勝のリアン・マーフィー(アメリカ)には0秒04届かずメダルを逃した。

 それでも入江の表情に変化はなかった。

「メダルに届かなかったのは悔しいですが、今の状態で52秒5を出せるかと言ったら、そうではないので......。決勝の独特な雰囲気というのもあったけど、素直に今の自分の実力を受け止めたいですね。3カ月間休んでいたのだから、それで表彰台に上がれるほど世界は甘いものではないし。でもリオのあとのことを考えれば、この世界選手権でここまで来られるとは思わなかったし、今は『本当に戻ってきてよかったな』と素直に思えています。だからメダルを逃して悔しいというより、このあとの200mや最終日のメドレーリレーに向けて気持ちを切り換えたいというのが正直な思いです」

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