シーズンを出遅れたプロスイマー萩野公介。「今の体で戦うだけ」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●撮影 photo by Ninomiya Wataru

 それに対して萩野は、リオ五輪のメダリスト最上位で200m個人メドレーと400m個人メドレーの世界選手権出場を決めていたこと、昨年9月には一昨年の骨折の影響で狭くなっていた肘関節の可動域改善の手術を受けたこともあり、本格的な練習を開始したのは年末から。2月下旬からスペインのシェラネバダで5週間の高地合宿をし、その間、3月10~12日のマドリード・オープンで6カ月ぶりの試合に復帰したばかりという状況だった。

「背泳ぎでリードして、最後の自由形で粘り勝ちできればいいと思っていたけど、そこは大也のほうがよかったですね。最後の自由形はふたりともメチャクチャ遅かったので、ビックリしてふたりで笑ってしまいました。ベストから4秒遅いタイムなので動きの悪さやスピードのなさもあると思うし、全体的にまだまだ整っていない。やっぱり勝ちたいとは思っていましたが、僕がなかなかうまくいかなかったのに対して、大也は五輪を終えてからいろいろな試合を転戦して強化してきた結果だと思います」

 萩野は、最初のバタフライでは瀬戸との差を0秒03でしのいだが、リードするつもりだった背泳ぎでは0秒43しかアドバンテージを作れなかった。一方、その背泳ぎで「力を使ってしまった」という瀬戸は平泳ぎを抑えて泳ぎ、萩野を0秒13離しただけで最後の自由形にかけたという。萩野は「差せたと思ったけど......」と悔しがるが、0秒01届かなかった。

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