3連覇の偉業をステップに。競泳・瀬戸大也は4年サイクルで成長する (2ページ目)

  • 田坂友暁●取材・文 Tasaka Tomoaki
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura hiroyuki/PICSPORT

 話は高校3年生で迎えた、2012年ロンドン五輪代表選考を兼ねた日本選手権に遡る。その直前にインフルエンザを患った瀬戸は、400m個人メドレーで力を出し切れずに3位となり、代表権を逃した。一時は練習に身が入らないこともあったが、同い年のライバルである萩野公介(東洋大)が、五輪の同種目で銅メダルを獲得してチームに勢いを与えた姿を目の当たりにし、心境に変化が訪れる。

『俺は何をやっているんだろう』

 ロンドン五輪出場は逃したが、まだ自分にだってチャンスは残っている。そう信じて、夏の全国大会に向けて気持ちが上向かせた。同年10月、岐阜国体で五輪メダリストとなった萩野と対決し、400m個人メドレーで勝利を収めると、勢いそのままにトルコ・イスタンブールで行なわれた第11回世界短水路選手権の同種目で、短水路(25mプール)での世界初制覇を飾る。

 2013年に行なわれたスペイン・バルセロナ世界水泳選手権の400m個人メドレーでは、350mを折り返したあとに失速した萩野を尻目に、最後まで力強いキックを打ち続けて4分08秒69の自己ベストで優勝。短水路、長水路(50mプール)の両方で、瀬戸が世界を制した瞬間だった。

 2014年からは、新たな挑戦を始める。200mバタフライへのチャレンジだった。この夏の国際大会では、個人メドレーの調子がいまひとつのなか、バタフライでは当時の世界ランキング1位となる1分54秒08という好タイムをたたき出す。そこで調子を取り戻し、カタール・ドーハで開催された第12回世界短水路選手権の400m個人メドレーでは、当時の短水路日本新記録となる3分56秒33で、萩野を抑えて2連覇を果たす。

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