金銀銅メダル獲得でも萩野公介は
自分に怒り。リオ五輪の競泳終了

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 そして決勝でも、平井伯昌コーチが「リレーが終わって昨日から泳ぎがちょっと重くなり、午前中に休んでも戻らなかったので心配していました。高地合宿の終盤から、背泳ぎとバタフライのスピードが上げられなかったのも気になっていました」と言うように、最初のバタフライは少し重い感じでスピードが乗らず、3位で通過した。

 もうひとつの不安要素だった次の背泳ぎもいつものように伸びず、追い上げてきた藤森太将にもかわされて5位でのターン。それでも最後の自由形では萩野らしい追い上げを見せて2位に上がり、銀メダルを獲得したが、タイムは自己記録より遅く、優勝したフェルプスには大差をつけられていた。

「タイムは遅いので、それ以外何もいうことはないと思います。スピードが出ていなかったことが原因だと思いますが、やっぱり強さが足りないというのはすごく思いました。それは肉体的にもそうだし、精神的にもそうだと思います」

 萩野は記者から質問を受けると一瞬考え、自分に言い聞かせるかのようにひとつひとつの言葉を口にした。

「フェルプス選手は僕の永遠の目標であり、永遠のスターです。そんな彼ともう少しいい勝負をする準備や、そうでありたいとずっと思ってずっとトレーニングを積んできたので、それができなかった悔しさというのがすごくあるし、自分の実力不足がその最大の要因だと思っています」

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