強いぞ「ポセイドンジャパン」。リオ五輪前哨戦で強豪国がたじたじ

  • 田坂友暁●取材・文 text by Tasaka Tomoaki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 パスラインディフェンスの基本はマンツーマン。そのため、相手選手が広がってしまうと、日本選手もコート全体に散らばることになる。すると、ゴール前には相手センターと日本のディフェンス1人、そしてゴールキーパーという形になってしまう。それでは体格差のあるセンターをブロックできず、高さのあるパスはカットしきれない。結局この戦法で、日本はブラジルのセンター1人に6点も奪われてしまった。

 諸外国に比べて高さに劣る日本は、この戦法をとられてしまうと、防ぐ術がない。会場にいた誰もが「パスラインディフェンスが破られた」と思ってしまうほど、日本は完膚無きまでに叩きつぶされた。

 しかし、大会最終日の順位決定戦で再度ブラジルとの対戦を迎えた日本は、全く違う姿を見せつける。

 ブラジルが1点リードで迎えた後半第3クォーター。得意のカウンターアタックを決めるなど、流れに乗った日本が反対に1点のリードを奪ってみせたのだ。第4クォーターで惜しくも逆転されて12-13で敗れはしたが、1点差という結果は、前日のやられっぷりに比べると、信じられない健闘だった。

 パスラインディフェンスを完璧に破られた日本が、なぜここまで戦うことができたのか。

 その答えは、とてもシンプル。『センターにボールを出させない』ことを徹底したのだ。敗因でもあったサイドからの高いパスを出させないために早めにブラジル選手に当たり、そもそもサイドのスペースまでボールを運ばせないようにしたのである。それでも数本は同じような高いパスを入れられたが、日本はパスラインディフェンスの陣形を崩すことなく対応してみせた。

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