ケガから復活の萩野公介。リオ五輪のメダルがハッキリ見えた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 この日本選手権で、萩野はこれまでの多種目挑戦から、200m、400m個人メドレーと200m自由形の3種目の出場へと変えた。本番を意識して種目を絞ったのだ。

 そんな大会を萩野は「体はすごく楽だったけど、気持ちはきつかった」と言う。出場したのは、上位4名の合計タイムで代表枠が獲得できる4×200mフリーリレーを含めて、すべてが本番でメダルが狙える種目。

 昨年は世界選手権直前に右肘を骨折して代表を辞退し、泳げない日々も経験していた。「肘を骨折したあとは、前と同じ動きができているかといえばそうではないと思うし、右と左の差も出ている。そういう状態だと練習でタイムが出ていても試合でタイムが出ないと不安になる部分あって......」と話す萩野にとって、不安を払拭するためのカンフル剤は、自己記録を更新すること。日本選手権に種目を絞って出場することで、その目標を達成し、自信を取り戻して五輪に臨みたいと考えていた。

 だが初日の400m個人メドレーでは、そんな思いが若干空回りした。最初のバタフライは日本記録のラップを1秒67も上回る54秒65で入ったが後半はスタミナ切れとなり、2位。昨年の世界選手権優勝の瀬戸には4秒62差をつける圧勝で五輪代表権は獲得したものの、記録は自身の日本記録に1秒29及ばない4分08秒90にとどまった。そしてレース後には「代表になれたことはうれしいけど、もっと高いタイムを望んで練習してきたのですごく悔しい」とこぼした。

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