【水球】中国撃破でリオへ!日本代表を強くした「秘策&完全拘束」 (2ページ目)

  • 田坂友暁●文 text by Tasaka Tomoaki
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 これで五輪出場に王手をかけた日本は、大会最終日に宿敵中国と対戦。ともに全勝で迎えた事実上の決勝戦は、日本がゴール前で幾度となくファウルを取られ、異常な数のペナルティショットを奪われるというアウェーの日本にとって苦しい戦いだった。しかし、本来は攻撃のためにある日本のパスライン・ディフェンスがここぞという場面で牙をむき、得点を積み重ねていく。結果、16対10で中国を破って夢の五輪出場権を手中に収めたのである。

「4年間取り組んできたパスライン・ディフェンスも機能して、カザフスタンに1点差で勝ったことで勢いに乗れました。最後まで、自分たちのやりたいゲームプラン通りの戦いができたことが、五輪につながったのだと思っています」(大本HC)

 キャプテンとしてチームを支える志水祐介も「先輩たちができなかったことを、苦しみをともにしてきたこのメンバーで成し遂げられて、本当にうれしい」と涙を流した。

 実は4年前に一度、日本に五輪出場のチャンスは訪れている。2011年、中国・上海で行なわれた世界水泳選手権で、初の決勝トーナメント進出を果たし、過去最高順位となる11位という結果も残していた。しかも、アジア大陸予選は日本で行なうという最高のお膳立てがありながら、カザフスタン、中国に敗れてロンドン五輪出場は叶わなかったのだ。志水もこの悔しさを経験した選手のひとりだった。

「自国開催ということでプレッシャーもかなり大きかったですし、そこで負けたことで自信もなくしてしまいました」(志水キャプテン)

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