瀬戸大也金メダルも、日本男子水泳に必要な「リオ五輪戦略」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

「予選と準決勝が終わってから、タイミングが全然合っていないと言われて......。それで手を少し延ばして前に乗るというのを意識して練習をして、ウォーミングアップの時はしっかりできていたんです」

 こう話す瀬戸だが、レースではそれを改善しきれなかった。5日午後の決勝では、最初の50mは準決勝より速く入ったが中盤から伸びず、最後は失速して6位という結果に終わった。

 その6レースあとに行なわれた200m個人メドレー準決勝では、その感覚のズレが大きく出てしまった。最初のバタフライでトップのライアン・ロクテ(アメリカ)に0秒97の差をつけられる5位の滑り出し。背泳ぎで7位まで落ちると得意な平泳ぎでも挽回できず、2分00秒05で全体の14位という結果になった。

「1分58秒くらいだと思って、タッチしてみたら2分0秒なのでびっくりしました。アップの時は体の調子とタイムが一致していて調子がいいんだろうなと思っても、レースでは波に乗れてないというか。大きな大会でこんなに崩れたのは初めて。出場できなかった萩野に、『公介の分まで頑張ってくるから』と言ってきたのに、それをできなかった自分自身に悔しい気持ちでいっぱいです」

 これまではライバルである萩野と"一緒に頑張る"という気持ちで、自分の泳ぎに集中できていた。だがその萩野がいなくなり"自分がやらなければ"と思った時に、心の中に雑念が生まれたのだろう。

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