五輪の金メダルが見えた!世界水泳で証明した渡部香生子の強さ (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

「最後はテンポを上げ過ぎて少しタイムが遅くなってしまったので2分20秒台には届かなかったですね」と竹村コーチは苦笑するが、渡部は「先生と話していたのとほぼ同じレースができました。狙っていた日本記録は出せなかったけど、こういうすごいプレッシャーの中で想像通りのレースができて優勝もできたから、今は本当に満足しています」と笑顔を弾けさせた。

「昨日までは頭が少し突っ込んで足が浮いてこない泳ぎだったので、それを今日は修正して泳げました。最後まで必死に泳ごうと決めていたのでタッチするまで力を抜かなかったけど、今日は本当に練習でやっていたことがそのまま出せたレースだったんじゃないかなと思います。1位でタッチした瞬間は、これまであった緊張感とかプレッシャーとか、そういうものが一気に全部無くなった感じがして。本当に最高で、これまでにないくらいすっきりした感じでした」

 200m個人メドレーで銀メダルを獲り、100m平泳ぎでは4位に終わったあと、周囲の応援を感じ、自分でもその期待に応えたいという気持ちになっていたという。そして、200m平泳ぎで竹村コーチと密かに狙っていた金メダル獲得を実現させた。狙って獲った金メダルだからこそ、ふたりにとって大きな価値がある。

「メダルをもらってもまだ実感が湧かないんですけど、とりあえず今は個人のレースが終わってホッとしたというのが一番です」と明るく話す渡部。

 この金メダル獲得で、来年のリオデジャネイロ五輪代表が内定した。2度目の五輪は前回のロンドンと違い、本当にすっきりした気持ちで素直に「戦いたい!」という思いで挑戦ができそうだ。その準備をこの世界選手権で確実に整えた。

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