五輪の金メダルが見えた!世界水泳で証明した渡部香生子の強さ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 昨年はパンパシとアジア大会の200m平泳ぎで優勝するなど成長を見せた渡部は、大会前からメダル候補と期待されていた。だが竹村吉昭コーチはそんな渡部のプレッシャーを軽減するため「初出場だった2年前の世界選手権は個人メドレーが準決勝敗退で、100m平泳ぎは予選敗退。だから最低でもそれ以上は行こう」と話していたという。

 大会前は個人メドレーの練習を主にして、最後のまとめのところで平泳ぎを少し入れただけというが、個人メドレーでは50mずつ分けてやるブロークン練習でも合計タイムは2分3秒が出ていたので、ソコソコいけるという手応えがあった。

 100m平泳ぎで最後のタッチに失敗して0秒01差でメダルを逃した悔しさと、個人メドレーで得た自信。それをバネにした渡部は、得意な200m平泳ぎで安定感を見せつけた。「記録を狙っていけ」と指示された6日午前の予選では、「後半もだいぶ余力を残して泳ぐことができた」と2分23秒29でトップ通過。午後の準決勝では「少し落ち着きすぎて前半を予選より落としてしまった」というが、全体的に安定した泳ぎを見せ、3番目ながら2分22秒15とタイムを伸ばして決勝に進んだ。

「後半の泳ぎには高地合宿の成果が出ているんじゃないかと思うので、あとは前半どれだけ積極的にいけるかというのと、ラスト25mをしっかり泳ぐかだと思います」

 こう話す渡部は日ごとに落ち着きを増しているように見える理由を「レースを重ねるごとに自分で自分に期待してしまうところが少しあって。だから自分で自分を落ち着かせよう、落ち着かせようと取り組んでいるところはあります」と、微笑みながら説明した。

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