日本シンクロ復権へ。「本当に強い国」への第一歩 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 だがその演技には力強さがあった。勢いを最後まで保持し続けた選手たちの気迫が、予選より0.7617点上積みさせてメダルにつなげたのだ。

 選手たちにそんな攻めの気持ちを持たせたのは、前日のデュエットのメダルだった。箱山愛香は「デュエットを見て本当にメダル争いができるという気持ちがでてきた。ミーティングの時にそのメダルをみんなで触らせてもらい、『明日は私たちももらうぞ』という気持ちになりました」と語る。そんな気持ちが結集したからこそ、アスリートとしての戦いができたと井村コーチは言う。同時にこうも言って気持ちを引き締めた。

「五輪はテクニカルとフリーのトータルで順位が決まるので、フリーも勝たなければ本当の勝ちにはならないんです。去年のワールドカップではデュエット、チームともにウクライナに勝っているが、その勝敗を見ればデュエットはテクニカルで勝ってフリーで負けているし、チームもフリーでは勝ったけどテクニカルでは負けていて1勝1敗なので、今回は仕切り直しの大会。ここでフリーも勝って、来年の五輪につなげたいんです」

 そんな決意を持って臨んだフリー。デュエットはテクニカルと同じく予選でウクライナを抑えて3位だった。だが決勝では、大きさや伸びやかさの無い演技になり、予選より得点を0.1点落とす93.4333点になってしまったのだ。それに対してウクライナは日本を圧倒するまでの演技ではなかったが、0.1667点差で日本は抑えられてしまった。

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