【水泳】萩野公介と渡部香生子、ふたりの4冠達成が示す意味 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 横山健太●写真 photo by Yokoyama Kenta

 しかし、翌日の200m個人メドレー決勝では「背泳ぎと平泳ぎがパッとしなかったので、それが影響して最後の自由形もそんなに伸びなかった。スピードが乗った状態で前半を楽に泳いで、後半の粘りにつなげるというのは基本的なレースの流れだと思うけど、なかなかスピードが上がらないのでモヤモヤ感が残っている」と話し、瀬戸大也(JSS毛呂山)をわずか0秒52上回る1分56秒30での優勝となった。

 昨年12月のイギリス短期留学中に肩を痛め、帰国後も全力で泳ぐことができず、2月からのフラッグスタッフ(アメリカ)の高地合宿も、だましだましだった。

 平井伯昌コーチは「萩野の場合は超人的な練習メニューをこなせるので、普段は他の選手と一緒には練習ができない。でも今回は肩の故障があったので、他の選手と同じくらいの練習しかやらせられなかった。最後の最後になってだいぶよくなってきたが、大会に入ってからの200m個人メドレーで泳ぎが急に悪くなったように、ウォーミングアップ中でも泳ぎが大分変わってしまい、去年のようなストロークが安定する部分が少なかった」と今大会を振り返った。

 そんな不安もあったが、最終日の400m個人メドレーは勝負に徹した。バタフライで先行した瀬戸を得意の背泳ぎでわずかにかわし、平泳ぎで再逆転を許しても動じなかった。「平井先生には、300mで(瀬戸)大也が先にいても慌てずに泳げと言われていた」と、最後の自由形で突き放し、4冠を達成した。

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