【水泳】萩野公介と渡部香生子、ふたりの4冠達成が示す意味

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 横山健太●写真 photo by Yokoyama Kenta

 4月7日から6日間の日程で開催された競泳日本選手権。期待された男女のエース、萩野公介(東洋大)と渡部香生子(JSS立石)はそれぞれ4冠獲得を果たしたが、ともに苦しさを味わう戦いだった。

左から最終日の400m個人メドレーで、2位に入った瀬戸大也、4冠を達成した萩野公介、3位の藤森丈晴左から最終日の400m個人メドレーで、2位に入った瀬戸大也、4冠を達成した萩野公介、3位の藤森丈晴「自分の中ではここ2年間の日本選手権は調子がよかったので、状態が悪い中でも日本選手権になれば気持ちも盛り上がって来るだろうし、速く泳げるだろうなと過剰に考えていた部分はあります」と言って苦笑した萩野。

 大会初日の400m自由形決勝は、2位に3秒39の大差をつける圧勝ながらも首をひねった。200mまでは自身が持つ日本記録より0秒79速いタイムで通過し、300mでもまだ0秒08上回っていた。だがラスト100mが伸びず、日本記録には1秒29及ばない3分45秒19に止まったからだ。

「最初から上半身はリラックスしていて、キックも入っている状態で泳いでいたので、いい感じかなと思っていました。途中200~300mのラップが落ちた気がしたけど、最後はそのペースよりあげられた感覚があったので、タイムを見て『アレッ?』と思いました。前半を1分50秒台で泳げたのは初めてだったので、トータルタイムはもう少し欲しかったですね」

 こう話した萩野の不満気な表情はその後も続いた。大会3日目(9日)、200m個人メドレーの予選と準決勝を泳いだあとに行なわれた、200m自由形の決勝でも、前半の100mは日本記録を上回るペースで泳ぎながら、結果0秒59遅れる1分45秒82で優勝。

「ラスト50mが26秒5なので、そこが25秒台だったら日本記録くらいは行っていた。でも1分45秒8ならオッケーラインかなと思う」と若干盛り返していた。

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