メダル候補の15歳。飛び込みの板橋美波がリオ五輪へ前進中 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 その経験から「このままじゃダメだ」と気持ちを切り替え、昨年6月の代表選手選考会で優勝すると、ワールドカップやグランプリに出場を果たし、アジア大会代表にもなった。

 だが、「メダルを獲れる」と言われていたアジア大会ではミスをして5位に終わり、イタリアのグランプリ大会でも0.25点差で優勝を逃し、今まで以上にもっと細かなところまで気持ちを張りつめなければいけないことを実感した。

 一方で7月の世界選手権では個人戦以外の楽しみも出てきた。今大会の高飛び込みで優勝して、世界選手権代表になった16歳の佐々木は、昨年4月からJSS宝塚に入って一緒に練習をするチームメイト。彼女と組んでシンクロ高飛び込みに出場できる可能性が大きいのだ。

 板橋は「練習も一緒にできるし、ほぼ同年代だから。先輩とやっていた時は失敗すると『すみません』と謝って気を使っていたけど、今度は互いに『今、失敗しちゃった』『うん、いいよ。次頑張ろう』って言い合える」と笑う。シンクロは強敵の中国も1チームのみ。2名いる個人戦と違ってメダル獲得の確率が高くなるのだ。

「ただ、私は簡単な演技の方が苦手なんです。体のコントロールがたぶん下手なので、それだったら思い切り回す方が楽というのがあるんです。佐々木さんは基礎ができているので、頑張って合わせられるようにしたいですね」

 崇英コーチは「パワーとスピードは制御するのが難しく、精神面が大きく作用する。それを安定させるにはキャリアが必要」という。板橋はまだ15歳。これから経験を積んでいけば、確実に400点台も見えてくる。

 彼女の世界の頂点を目指す歩みは7月の世界選手権から始まる。

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