悔しさをバネに世界へ。16歳スイマーがアジアパラで流した涙 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 インタビューでは「練習ではとてもよい泳ぎができていたのに......。明日は自分の泳ぎをしっかりしたいと思います」と言葉を絞り出しながら、涙をぬぐった。

 イメージ通りのレースができなかった悔しさ、そして本番で結果を残す難しさ。注目が集まる大きな大会でのこの経験をバネとし、さらなる成長へとつなげてほしい。

 ちなみに、IPC(国際パラリンピック委員会)が発表している世界ランキングでは50m自由形で13位、100m自由形は11位(10月20日時点)。アジアから世界に目を向ければ、力の差は歴然だ。だが、まだ16歳。技術的にはこれから大きく伸びる可能性を秘めている。2年後のリオデジャネイロパラリンピック、そして2020年の東京パラリンピックに向けてどんな泳ぎを完成させていくのか。これからが楽しみなスイマーだ。

 彼女が、最初に大きく成長した姿を見せたのが、昨年のジャパンパラ競技大会だった。この日本最高峰の大会に中学3年生で初めて出場した池は、エントリーした4種目のうち50mと100mの自由形、100m背泳ぎの3種目を制し、鮮烈な印象を残した。この時、まだ水泳を始めて5年未満。それから1年経った今年の同大会でも、50m自由形で自身の記録を塗り替えて当時のアジア新記録を樹立するなど、異彩を放っていた。

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