【水泳】入江陵介がこだわった「記録への挑戦」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by (C)Takao Fujita / PHOTO KISHIMOTO

 この種目では今季は世界でも頭ひとつ抜け出す記録を出している入江。

「後半で伸びるという自信があったので、このレースは周りを意識しないで優勝するという気持ちも持たず、タイムだけを意識していた」というように、前半の100mは自身の日本記録のラップを0秒09上回る55秒52で通過し、2番手の徐に1秒06差をつける積極的な泳ぎ。その後も安定した泳ぎで差を広げ、ラスト50mも全選手中ただひとり、28秒台(28秒62)で泳ぎ切り、ノーマル水着自己最高の1分53秒26でゴールしてアジア大会3連覇を達成した。

「ヘルニアになったりして苦しい時期もあったが、ここまで体を良くしてくれたドクターやスタッフに良くなったことを伝えたくて泳いだ。感覚だけで泳いでいたので、ゴールしてタイムを見て53秒前半が出ているのには驚いたが、やってきて良かったと思った」(入江)

 メドレーリレーでも優勝して2大会連続3冠を獲得したいと話した入江だが、競泳最終日の26日、惜しくもその願いは叶わなかった。第1泳者を務めた入江の記録は、個人100mの時より徐との差を、0秒47から0秒73にまで広げる好成績だった。だが、チームは最後の自由形で100m優勝の寧沢涛(中国)に46秒91のラップタイムで泳がれて逆転負けしてしまった。

 それでも入江は納得の表情だった。

「僕はリレーの方が記録を上げてくると思われているし、僕自身そう話していたのに記録が出なかったのは悔しいところもあります。正直日本記録を狙うと言っても厳しいのかなと思っていました。でも初日の100mであと0秒10差まで迫れたし、メドレーリレーでも52秒台前半で泳げたのでこれで本当に見えてきたという感じです」

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