【水泳】バタフライ金の瀬戸大也「常に萩野公介と優勝争いを」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 一方、そんな瀬戸と同じように今大会出場選手の中でベストタイムを引っさげ、優勝候補として臨んだ女子200mバタフライの星奈津美は苦しいスタートとなった。

「この大会は強い中国選手が出ないから金メダルを狙えると思っていたけど、オーストラリア入りする前のレースを想定した練習では、飛び込んでからの50mがいい時より1秒近く遅かったので。それで不安になって焦ってしまい、オーストラリア入りしてからも空回りした感じになっていたんです」

 キックを意識し過ぎて上半身と下半身の使い方のリズムを崩してしまったのが不調の原因だと星は話す。そんな状態で臨んだ予選では、今季ベストより3秒以上も遅い2分09秒11の5位通過に。さらに不安が大きくなってしまった。

 そんな星を指導する原田良勝コーチはこう語る。

「予選はキックばかりを意識していたので体重移動を意識できなくて、水中で体が立ってしまっていたんです。だから決勝前のアップでは体重移動を意識すればキックも自然に打てるようになるからと言ってやらせました」

 そのアドバイスを受けて決勝に臨んだ星は、見事銀メダルを獲得するまでに立て直した。

 前半は1分05秒98で泳いだ日本選手権より0秒71遅い入りだったが、終盤でかわされたカミレ・アダムス(アメリカ)にわずか0秒07差の2分06秒68で2位と意地を見せた。

 原田コーチは「今回の環境はきつかったけど、その中でもよく修正できたと思うので、いい経験になったと思います」と振り返った。

 一方星も、「金メダルを狙える状況だったというのを考えるともったいなかったと思うけど、決勝前の30分でドリルをやって泳ぎを修正できたので。短い時間で少し状態を戻せたことは収穫だと思います」と、安堵の笑みを浮かべた。

 初日の勢いそのままに、日本勢は2日目もメダル獲得を狙う。

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