【水泳】見えてきた世界記録。渡部香生子の平泳ぎが確変中!

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 レース展開も完璧だった。1分07秒17のトップタイムで通過した予選では「少し体が立っていた」と修正。スタートの浮き上がりから力みのない泳ぎで加速すると、隣のレーンの鈴木より先行して50mは0秒16差をつける31秒41で折り返し。そこからも泳ぎを乱すことなく一気に突き放し、後半も34秒47でカバー。鈴木が09年にマークした日本記録を0秒44更新したのだ。

 この"1分05秒88"の記録は昨年の世界ランキング4位に相当し、今年のランキングだと、世界記録保持者のルタ・メイルティテ(リトアニア)に次ぐ2位の記録。

 竹村コーチが「最初の25m通過で『これは速いな、今までにないタイムだな』と思ったら、50mも速かったし75mも速かったし、100mも速かったんで。『行っちゃったな』という感じですね」と笑うほどだ。

 渡部も「自分の中では日本選手権と同じ、1分6秒中盤くらいがでればいいと思っていた。まさか5秒台までいくとは思っていなかったのでびっくりしました」と驚く。

「去年より安定した練習ができているのが自信になっているし、ここまで練習でも泳ぎの調子が良いままでこれたので。100mも今まで記録が出ていないときはシャカシャカして小さく泳いでいたけど、最近はストロークを大きくしてもテンポを速くして泳ぐというのがうまくできている」(渡部)

 また渡部は、代表選考がかかる日本選手権は緊張するが、今回はヨーロッパGPの連戦でレース感覚を磨けた上、リラックスして泳げたのが好記録の要因ではないかとも分析する。

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