【水泳】五輪男子400mメドレーリレー、最高のチームはこうしてできた

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 競泳最終日の前夜。チームのメダルラッシュの勢いを得て、メンバーの気持ちは高ぶっていた。バタフライでの出場が決まった主将の松田は、入江と藤井に声をかけ、「個人でメダルがなかった北島さんを手ぶらで帰すわけにはいかないぞ」と3人で密かに誓いを立てたという。

 その気合いがレースにも表われた。スタートの入江は100m背泳ぎ優勝のクレバー(アメリカ)に次ぎ、2位で北島に引き継いだ。北島はハンセンを追うと、群を抜くスピードでトップに立つ。2人ともタイムは個人の決勝を上回った。続く松田のラップタイムは51秒20。フェルプス(アメリカ)にわずかにかわされたが、8人中2番目のタイムで事前の不安を吹き飛ばす。最後は藤井が100m自由形の銀メダリスト、マグヌッセン(オーストラリア)の追い上げを0秒32かわして2位でゴールした。

 北島は「今回はひとりひとりが自信を持ち、やるべきことをやった、本当にいいチームだった」と振り返る。また、五輪のメドレーリレーを初めて経験した入江も「いつかはアメリカを抜くようなチーム力をつけたい」と意欲を見せた。

チームだから力以上のものを出せる。そんな4人の気持ちが銀メダルに届いた。

スポルティーバ
ロンドン五輪・速報&総集編
『輝く!「チーム力」ニッポン』
より転載

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