【水泳】入江陵介、宿敵に勝つも銀メダル「今はこの順位に胸を張りたい」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 ライバルのロクテには0秒16差をつけて勝ち、目標のひとつは達成した。だが、入江は「一応は勝ったけれど、僕も実際は1位じゃないから、負けたというところに何の変化もない。今はそれを素直に受け止めたいと思う」と、喜ぶに喜べない複雑な心境を口にした。

 だが、昨年の夏から強烈に意識し続けてきたロクテに勝利したという結果は、入江にとっては大きな収穫だ。相手の調子が万全ではなかったとはいえ、ずっと頭の上の重石(おもし)になっていた存在を、とりあえずは消すことができたからだ。今度は怪物に挑む入江陵介としてではなく、対等に戦う相手として渡り合っていける。

「ロクテ選手が横でどんなレースをしようと、僕は自分が描いたレースをしようと思っていて、それはできました。でも記録的には、もっともっといいタイムを出さなければいけなかったな、とも思いますね」

 ライバルとの勝負に勝てたことで、入江陵介の『欲』は、どんどん膨れ上がってきた。

 ロンドン五輪で手にした、2個のメダル。金色ではなかったが、それは、入江を次のステップに導く大きな原動力となるはずだ。

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