【水泳】北島康介200m4位も「今日になってようやく......」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 メダルへの勝負をかけた決勝は50mを14ストロークと大きな泳ぎで100mまで北島がトップに立った。しかし、元々後半が強い上に100mでも自己記録を大幅に更新する59秒53を出して4位になっていたギュルタは、それに負けじと速かった。100mを北島より0秒16遅いだけで折り返すと、その後は難なく北島を交わし、その差をジワジワ広げていく。

 一方北島も、ラスト50mに入っても泳ぎに疲れが見えなかったが、ジェミーソンがスピードアップしてギュルタを追いかける。その結果、北島は隣の9レーンの立石諒と激しく競り合う展開になった。

 ラスト10mで泳ぎが詰まった北島はストロークが合わず、最後のゴールタッチが流れた。その瞬間、追い込んできた立石が北島を0秒06でかわしてゴールした。だがその前ではギュルタが2分07秒28の世界新でゴールし、ジェミーソンは2分07秒43で2位と、ワンランク上の優勝争いをしていた。

 立石は2分08秒29で銅メダルを獲得したが、北島は4位。100mに続いてメダルを逃した。

 試合後北島は、「残念だし悔しいけど、自分らしい泳ぎはできたと思いますね。ラスト50mまで溜めて勝負するという方法もあったけど、今日になってようやく自分の泳ぎができたから、『それならずっとやっている前半から飛ばすスタイルでいこう』と思ったんです。だから悔いはないし、諒がきちんとメダルを獲ってくれたから、特に言うこともないですね」と話し、「100mが終わってから200m決勝までの間はすごく辛い思いもあったが、北京後から新しい挑戦をできていることを含めていい経験になった。こういう苦しさがあったから、水泳の難しさを改めて認識できたし、さらに好きになった」と結果を前向きにとらえた。

 100、200mとも世界記録が出て急激な進化が明らかになったロンドン五輪の男子平泳ぎ。その中で3連覇を逃したとはいえ、北島は次へ向かうための大きな満足感とモチベーションを手に入れた。

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