【水泳】北島康介200m4位も「今日になってようやく......」

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 決勝はその言葉通りに前半から飛ばす、北島らしいレースができた。だが平井は「あれは突っ込んでいるわけではなく、スタートからの浮き上がりを普通にできれば、50mまではけっこう速くいけるはず。もしいいと思ったら50~100mは少し落とせと指示した」と言うのだ。

「康介がアメリカに行ってからの泳ぎは、少し上体が立っているようになっていたんです。今回はそれが少し出ていたし、前日の夜には映像分析の岩原文彦さんから『ストリームラインが取れていない』という報告を受けていたので、ウォーミングアップでそのことをしつこく言って上体を前に倒すようにさせたんです。そうしたら、足の掛かりも体の流れもよくなったんです。メダルを獲るためには後半の50m2本を頑張らなくてはいけないから、100~150mはビルドアップして、その後はハードで行けと言ったんです」

 こう話す平井だが、金メダルとなると厳しいと分析していた。優勝タイムは世界記録レベルになると想定したからだ。さらに、昨年の世界選手権で優勝したダニエル・ギュルタ(ハンガリー)は準決勝を2分08秒32で泳いでいたが、スピードをセーブした泳ぎなのは明白だった。北島も前日、「僕もちょっとセーブしたけど、あいつはかなりセーブしてたからね」と呆れたように言っていたほどだ。

 そのために決勝での目標を、今年4月の日本選手権の2分08秒00近くに設定してメダルを確実にしようとした。

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