2012.05.07

【シンクロ】マーメイドジャパンは
ロンドン五輪でメダル争いに絡めるのか?

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 藤田孝夫●撮影 photo by Fujita Takao

 五輪最終予選の前、21歳のエース乾がケガをしたため、デュエットは21歳の酒井麻里子(東京シンクロ)と小林が組んだ。実力は乾が抜けているため、もうひとりは表現力の酒井か、動きが大きい小林の争いとなっている。

 酒井も小林も五輪チーム代表には決まっているけれど、デュエットにも出たかろう。首脳陣が決断できないため、この大会ではペアを組みながら、互いをライバルと意識して泳ぐ羽目になった。

 テクニカルルーティーン(TR)ではふたりともミスを連発し、演技がチグハグだった。最終日のフリールーティーン(FR)は何とか持ち直し、特に前半は同調性とスピード感がよく出ていた。

 結局、昨年の世界選手権銅メダルのスペインペアに次いで、酒井、小林組は2位となった。だが、順位にさほど意味はない。デュエットをしながら、それぞれがいかに自分の個人の技術の正確さ、動作の高さ、勢いを示すかが問題だった。

ひとことでいえば、乾と組んだ時、どちらがよりデュエットのルーティーンを高めることになるのか、である。

 五輪のデュエット出場に向けての思いは?と聞かれ、酒井は漏らした。

「オリンピックが迫っているのに、このような質問をされてしまうというのは、自分たちの中で戸惑う部分があるんですけど......。誰が選ばれても頑張っていきたい」

 確かに3人が競うことで互いのレベルを押し上げることになったかもしれない。苦しい最終選考会を切りぬけたことも精神的な成長にもつながってはいるだろう。だが、メンバー決定の遅れはデュエットの同調性などにとってはマイナスとなる。

 デュエットのメンバーは今大会の日本人の国際審判員の意見も聞いて、合宿(5月14日開始)までに決定するという。

 さて、日本のデュエットもチームも課題は同じである。どだい日本が持ち味としてきた技術と同調性があやしくなってきている。昨年11月にロシア人コーチを解雇したこともあって、プラスしようとした芸術性も中途半端。

 課題は? と聞かれ、本間三和子シンクロ委員長は答えた。

「デュエットもチームも基本的には同じで、もっと高さとメリハリ、同調性。そこを合わせることでクリアに見えてくる。強い日本を取り戻せるような演技をしていきたい」

 嗚呼、迷えるマーメイドジャパン。迷いは裏を返せば、責任の所在があいまいだからである。当然、ロンドン五輪の結果の責任は委員長やコーチら首脳陣が負うことになる。

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