【水泳】入江陵介、日本の大黒柱としての決意。「目指すのは金メダルだけ」

  • 折山淑美●取材・文 Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●撮影 photo by Fujita Takao

100m、200mともに圧勝で五輪代表の座を獲得した入江100m、200mともに圧勝で五輪代表の座を獲得した入江
 200m背泳ぎでも優勝して2種目目の代表を決めても、入江陵介の顔に笑みは浮かばなかった。

「難しいですね。50、100、150mと全部ラップが遅かったので、いいタイムにつながりませんでした」

 4月7日の日本選手権男子200m背泳ぎ決勝は、50mを折り返してからひとり抜け出して独泳状態になったレース。100m通過の55秒84とゴールタイムの1分54秒03は、昨年の世界選手権を上回っていた。だが彼の視線の先には、1分52秒96で優勝したライアン・ロクテ(アメリカ)の姿があるのだ。

「本当はいい記録を出したいという気持ちはあったけど、200mの方はちょっと調子がよくなかったのかなと思います。泳ぎ自体は大きな泳ぎで楽にいけたけど、100mが終わってから大きな泳ぎを意識し過ぎたのでちょっとスピードが落ちたのかもしれない」

 こう話す入江は、ストローク数こそ安定していたものの、世界選手権と比べると100~150mのラップが29秒43と極端に遅く、ラスト50mは逆に28秒76と速くなりチグハグだった。

 昨年の世界選手権以来、入江は100mも意識するようになった。世界選手権の100mで、入江は同タイム優勝のラクールとストラビウス(ともにフランス)に遅れることわずか0秒22だったからだ。そして、これまでは見ているだけだったメドレーリレーにも初めて出場し、4位でメダルを逃す悔しさも味わったこともあり、100mへの思いはさらに強くなった。

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