箱根駅伝で王座奪還を狙う駒澤大の現状。主力の3年生に不安、スーパールーキーも苦境

  • 佐藤俊●文&写真 text & photo by Sato Shun

調子が上がらない3年生

「3月、4月ぐらいはポイント練習できる人がかぎられていて、悲惨なチーム状態だったんですけど、6月ぐらいに少し戻ってきました。まだまだですが、昨年以上のポイント練習ができる人数が増えてきたので、このまま夏を越えて、駅伝までうまくもっていきたいですね」(山野)

 駒澤大の今季の目標は、「3大駅伝制覇」である。その目標に欠かせないのは、チームの最大勢力の3年生たちだ。好調なのは、花尾恭輔らごく一部の選手にかぎられており、鈴木芽吹、唐澤ら昨年好走した選手の活躍は大会から見てとれない。

 山野も3年生については、不安を隠さない。

「今シーズン始まった時点で、(大八木弘明)監督から今年は上級生がカギになってくるからしっかりやってくれと言われました。そのなかで、3年生は本来の力を出しきれていない選手が多いです。今後、自分がしっかりと3年生に喝を入れて、モチベーションを下げないように駅伝までもっていきたい。今年は3冠達成が目標ですが、そのためには昨年駅伝を走ったメンバーが区間3位以内にまとめてくれないと達成できないので、3年生には頑張ってほしい」

 選手の質量では青学大に対抗できる。だが、その軸になる3年生の現状に山野は、もどかしさを感じているようだ。

 安原は、その3年生のひとりだが、夏を越えればという感覚でいる。

「3年生は、1、2年生の時にいい結果を出して、チームのなかで存在感がある学年。今は走りの状態としては厳しいですが、選手一人ひとりは大きな目標を持って走っているので、陸上に対する熱意を失わないようにやっていければいいかなと思います。個人的には、この夏を越えれば、みんな出てくると思っています」

 同学年だけに3年生の仲間に対する思いは強いが、彼らが揃うのはいつになるのか。

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