女子マラソン松田瑞生、予定外の孤独な戦いとなるも「万全なら戦えた」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

再び世界選手権の舞台を目指して

 万全な準備ができなかったなかではあったが、今回の記録は日本歴代12位に相当するまずまずの記録。

「合宿の後半に少し崩れた部分があったので、練習も含めてすべてが世界選手権だなと思ったし、やっぱりマラソンは練習ができてこそのレースだなと思いました」と話す松田だが、今回のレースでは「万全なら戦えた」という思いも強く残った。

「いつもどおりのコンディションに整えられていたら戦えたなというのは、すごく感じました。だからこそこれまでで一番悔しかったし、調整力や体力、精神力が劣っていたと感じました」

 トラックでは2017年世界選手権に出場しているが、2018年から挑戦を始めたマラソンでは、東京五輪出場を惜しくも逃していてこれが初めての世界大会。そこで号泣するような悔しさを感じたからこそ、これからの世界との戦いへ向ける気持ちはさらに強くなってきた。

「世界の舞台に立てない悔しさと、世界の舞台に立つプレッシャーと責任感というのはどちらも経験させていただいたし、私が一番、悔しさというのをわかっていると思うので。その悔しさを糧に、また次にこの世界の舞台に戻ってきて、結果を残せるようにまた一から頑張っていきたいと思います」

 直前にチームとしての誤算が続き、期待を一身に背負わされてしまった孤独な戦いと悔しさ。だからこそ松田の強い心のバネは、さらに勢いを持って跳ね返ってくるはずだ。彼女にとっては、貴重な世界選手権になった。

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