箱根駅伝の全国化も地方大学は「現実的に厳しい」。1回で終わらなければ、中長距離の名選手が指導する2大学にも可能性 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

全国化の継続で強化に期待の2大学

 全日本大学駅伝は8区間106.8㎞。関東以外の全日本出場校は、この区間設定に合わせて強化していく。しかし、箱根駅伝予選会はハーフマラソン(21.0975㎞)で争われるため、距離への対応が難しくなる。加えて8人揃えればいい全日本大学駅伝とは異なり、箱根駅伝予選会は10~12人の選手が必要だ。

 昨年の箱根駅伝予選会で最下位通過となった、国士大の平均タイムは1時間4分34秒。地方大学はハーフマラソンを走る機会が少ないとはいえ、このタイム以上の自己ベストを持つ選手は上田颯汰(関学大4年)、守屋和希(関学大3年)、アニーダ・サレー(第一工大4年)の3人しかいない。単独チームで予選会を突破するのは至難の業だ。

 1年ちょっとの準備期間があるとはいえ、予選会に参戦したところで、20位前後が精一杯のような気がしている。地方大学にとって最大の目標は、毎年11月の第一日曜日に開催される全日本大学駅伝だ。その2~3週間前に行なわれる箱根駅伝予選会に、全日本出場校がどれくらい参戦するのだろうか。

 第100回大会で地方大学が箱根駅伝に出場するのは現実的ではないが、第101回大会以降も全国化が続くようだと、地方大学にもチャンスは出てくる。その中でも"箱根効果"で将来的に強くなる可能性を秘めているのが、広島経済大と摂南大だろう。

 なぜなら両校には、箱根駅伝とオリンピックを経験している指導者がいるからだ。

 広島経済大は、2008年北京五輪の男子マラソン日本代表・尾方剛が監督を務めている。尾形は山梨学院大2年時に箱根駅伝の優勝ゴールに飛び込むと、10区で区間賞も獲得。2005年ヘルシンキ世界陸上の男子マラソンでは銅メダルに輝いた。指導者としても広島経済大で全日本大学駅伝を何度も経験している。

 広島には世羅高、隣の岡山には倉敷高という近年の全国高校駅伝で優勝を経験している超強豪校もある。近隣の有力選手をスカウトできれば、箱根駅伝の出場に近づくことができるだろう。

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