男子短距離の新戦力候補3人。世界選手権4×100mリレーの戦力となるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

高い意識を持って結果を残したのは

 そんな3人とは違い、余裕を持ってしっかり勝ちきったのはサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)だった。昨年はヘルニアを発症して出遅れて納得のいかないシーズンを送ったが、今年は3月の初レース以来順調で、予選を今季日本人最速の10秒11で通過。

 準決勝では「反応が遅いし、最初にブロックをもっと蹴られれば、もう少ししっかりとした形で出られる」とスタートは遅れたものの、中盤からはしっかり加速。終盤もコントロールされた動きで走り抜け、世界陸上参加標準記録突破となる10秒04を出した。

「まずまずかなという感じ。ここで満足しても何にもならないので、もう1段階、2段階上げていかなければいけないし、一緒に練習している9秒8の選手にも食らいついていかなければいけない」(サニブラウン)

 スタートが改善されれば9秒台の可能性も見えていた決勝では、隣のレーンの坂井隆一郎(大阪ガス)が抜群の飛び出しをしたことで、準決勝のような伸びを見せられなかったが、10秒08で優勝。

 記録に関しては反省の弁も出たが、3年前の優勝とは違うと語る。

「出遅れても自分のリズムで加速できたのは、日頃から自分より速い選手とスタート練習をしているのが生きたと思います。3年前のこの大会では、全米学生で9秒台と20秒0台を出した勢いで勝てましたが、それからアップダウンもあって。いろんなことを経験しながら作り上げていくのも大事かなと感じているし、こういう要所、要所で結果を出すことも、プロとしての使命かなと感じています」(サニブラウン)

さらに「真の壁は9秒90かなというのがあります。9秒9で走る人はたくさんいますが、9秒8はほとんどいないので」と、世界を見据える高い意識を見せた。

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