箱根駅伝より実業団を選んだ。世界選手権代表内定、5000m遠藤日向が歩む独自の道はすべて「世界と戦うため」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

悔しさが強さに変わった

 そこからは、悔しさをバネに大きく成長した。

「昨年の日本選手権のあとは、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジに出てオフをとり、ここ数年はしっかりトレーニングすることができなかった秋と冬にもしっかりトレーニングができた。12月には5000mで自己ベストも出せて、そのあとも順調でした」

 トラックシーズンは4月9日の金栗記念の1500mが初戦になったが、そこでは三浦龍司(順天堂大)に競り負けたものの、日本歴代3位の3分36秒69を出し、世界選手権参加標準記録の3分35秒00の突破も視野に入れた。その次のGGNの5000mで標準突破を果たしたことで日本選手権は5000mに絞り、初日に予選があった1500mは欠場することに決めたのだ。

「シニアになってからの世界大会は初めてで、本当にチャレンジャーという気持ちを忘れないで臨みたい」という遠藤。レベルの高い実業団の外国人選手にも勝利したラストのキレや、今回の冷静な走りを見れば、世界選手権での勝負も期待できる。

 それでも遠藤の発言は冷静かつ控えめだ。

「本当にラストが強い選手でも、そこまでをどれだけ余裕を持って走れるかがカギ。今回代表内定も、自分のポジションは出場する選手のなかでは下から数えたほうが早いので、いかに食らいついて決勝にいけるかだと思います」

 そして世界選手権の目標はこう口にする。

「世界選手権では決勝に進出すれば日本人初となるので(00年シドニー五輪では高岡寿成が進出)、それを目標に頑張ります」

 以前は日本人のライバルを、「世界ユースやU20世界選手権に一緒に出た、走り幅跳びの橋岡優輝や棒高跳びの江島雅紀(ともに富士通)が一番のライバル。サニブラウン・ハキームはすごく抜け出しちゃって、追いつくのはちょっときつい状態だけど、彼らには負けられないというのはすごくあります」と話していた遠藤。強い意志を持って世界と戦うために独自の道を歩んできた、彼の本格的な夢へ挑戦はこれからスタートする。

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