箱根駅伝で國學院大旋風の予感。学生ハーフ優勝の平林清澄は「将来、マラソンの日本代表になれる素材」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

監督も「あいつはエグい」

 ラストをいかに逃げ切れるか。

 それが今シーズン、いや平林曰く「高校生の時から」の大きな課題だった。初めて出場した3大駅伝の初戦である出雲駅伝ではアンカーで出走した。3位で襷を受け、突っ込んだ走りで前を追い、一時は東洋大を抜き、2位まで躍り出た。だが、後半、耐えきれずに抜き返されてしまい、チームは4位に終わった。アンカーという結果が求められる区間での失速は、平林にとって苦い経験となった。それでも持ち前の修正力を見せ、全日本大学駅伝では前半を抑えて後半で勝負というレース展開を演じ、7位から3位に順位を押し上げた。だが、完全克服には至らず、箱根駅伝後も「ラストの弱さ」の克服に取り組んできた。

「箱根が終わってからも、そこが足りないというのを意識して、朝練後にそのまま流しを入れたり、距離走が終わってからも流しを入れていました。そうしてスピードを磨いてきたので、それがひとつ成果として今回、表われたのかなと思います」 

 練習メニューに自分なりの追加を入れ、ベースアップに努めたのだ。さらに、平林の成長に欠かせないのが練習ノートだ。

「レースで課題を見つけて、修正するしか強くなる道はないと思うんです。練習ではいつも動画を撮ってもらっているので、それを見て今日ダメだったところ、修正で取り組んでいるところをチェックしてノートに書きます。その反省をしながら次のポイント練習に向けてジョグでつないでいます」

 そうした小さな努力をコツコツと積み重ねたことで力をつけ、今回の優勝につながった。

 國學院大陸上競技部の前田康弘監督も、「あいつはエグい」と高く評価している。

「レース10日前の練習で5000mを2本やって、1本目14分30秒、2本目14分6秒で終えて、もう1本行けますっていうんで、やばいな、こいつはと思いました(笑)。その内容を見ても、(今回は)イケるなって思いましたね」

 今回のレースで平林が結果を出すことを前田監督は確信していたようだ。

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