箱根駅伝優勝から3年でシード落ちの東海大。強化方針の転換に「対応できない上級生と対応している下級生で差が出てしまった」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 5区の吉田は1年生ながら区間3位(70分44秒)というすばらしい走りで復路を駆ける選手に勢いをもたらした。両角監督も「70分はきれるかなと思っていたんですけど、それくらい山の適性を持っています。このままうまく強化していくと、これからが楽しみですね」とその実力を認めている。また7区を駆けたルーキーの越陽汰(1年)も区間3位(63分09秒)と堂々とした走りを見せた。夏の終わりまで故障が長引き、出雲駅伝、全日本大学駅伝には絡めなかったが実力はピカイチゆえにようやくその片鱗を見せ、来年への期待が膨らんだ。

 チームには、今後が楽しみな1年生が多数おり、今回は箱根を走れなかった喜早駿介、佐伯陽生、溝口仁、松尾昂来ら2年生も力を持っている選手が多い。次回の箱根ではシード権はもちろん、上位を狙えるぐらいには選手は揃っている。

「復路で多少盛り返すことができた。底力はあると思いますので、再起といいますか捲土重来を目指して頑張ります」

 両角監督は、悔しさを噛みしめながらそう言った。

 来シーズン、東海大は全日本大学駅伝、箱根駅伝ともに予選会を戦うことになる。

 エースの石原はすでにランニングを始めており、いずれ戻ってくるだろう。だが、チームに距離型の取り組みを本当に定着させていくのか。両角監督自身は「スピード重視の駅伝をしたい」と考えているようだが、その理想を捨てて現実路線に舵を切り、割りきった指導をしていくのか。

 来季は、東海大の「これから」を左右する極めて重要なシーズンになる。

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