箱根駅伝区間エントリーから読み解く各校の狙いは? 駒澤大、青学大の2強と優勝争いに絡みそうな4校の戦略をチェック

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

【東洋大は往路優勝も視野に】

 前回は復路の6区と7区で躓(つまず)いた東洋大は今回、往路勝負にかけている。1区に前回区間9位の児玉悠輔(3年)、2区には前回区間4位の松山和希(2年)をエントリーしている。松山の2区起用は、故障で苦しんでいた状態から回復してきた証拠だろう。3区には当日変更で前回区間8位の前田義弘(3年)。4区は同じく、出雲、全日本と区間賞を獲得しているスーパールーキーの石田洸介(1年)を入れるだろう。5区は前々回1時間10分25秒の区間記録を樹立した宮下隼人(4年)がエントリーできていて万全の状態。往路優勝を視野に入れた布陣を組めそうだ。

 復路も7区には、全日本の5区で区間4位の梅崎蓮(1年)、9区には出雲の6区で区間7位の柏優吾(3年)をエントリーできているが、清野太雅(3年)や佐藤真優(2年)、村上太一(2年)も残っている状況。往路で優勝争いができれば、目標の総合3位以内も実現的になってくる。

 前回は2区と5区の失速で往路11位と苦しみながらも、底力で6位まで上げている早稲田大は、今回1万m27分台が3人いる。そのなかでエントリーされているのは、3区の太田直希(4年)だけだが、2区にはチームトップの27分54秒06を持つ中谷雄飛(4年)が当日変更で入ってきそうな気配。4区エントリーの石塚陽士(1年)は出雲4区区間賞と全日本の5区で区間4位の実績があり、そのままの起用となるはず。

 注目は流れを作る1区に誰を起用するかだ。出雲では菖蒲敦司(2年)が区間2位になっているが、前回1区で区間5位を走り、今年4月には27分59秒74を出している好調の井川龍人(3年)が控えに残っている。復路要員も鈴木創士(3年)や、山口賢助も残っているだけに、井川を1区にして27分台を3人並べるのか、それとも復路勝負の起点である7区に起用するかが注目だ。

 順天堂大も東京五輪3000m障害7位の三浦龍司(2年)は、前回10位だった1区での雪辱を熱望していたが、エントリーされたのは全日本で1区区間11位だった平駿介(3年)。三浦は前回2区で区間10位のエース・野村優作(3年)とともに控えに回っている。

 往路の3区と4区には28分06秒26を持つ伊豫田達弥(3年)とハーフマラソン1時間2分09秒の石井一希(2年)がエントリーされていて動きそうもないだけに、三浦の2区起用もあり得る。ただ、三浦と野村を除いた控え選手で5区の起用が濃厚な四釜峻佑(3年)や、他の3人も28分台と充実している。優勝争いをするには往路の出遅れ回避したいだけに、前回はともに区間10位だった三浦と野村が、雪辱を果たすというパターンもありそうだ。

 2強の駒澤大と青学大は戦力も十分で、優勝の可能性が高いものの何が起きるかわからないのが箱根駅伝。今回も各大学の10人がつなぐ襷から新しい物語が生まれるだろう。

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