箱根駅伝で優勝候補筆頭の駒澤大は前回ミスした1区に注目。戦力充実で3連覇も見すえた編成もできる

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by SportsPressJP/AFLO

【復路で逆転の構想も】

 今回は、青学大も1万mの28分台が23人と充実していて、ミスは許されない戦いになる。大八木監督は「往路はできれば優勝したいが、負けても2分以内の差で抑えて復路で逆転したい」という構想を持つ。ただ本音は12月4日の日体大競技会1万mで、日本歴代2位の27分23秒44を出した田澤でしっかり流れを確立し、往路優勝を果たしたいところだろう。

 そうなれば問題は前回ミスした1区の滑り出しだ。今回の1区は東京五輪3000m障害7位の三浦龍司(順大・2年)やスピードのある吉居が来ると予想できるだけに、序盤からのハイペースはなくても、中盤以降のスパート合戦は激しくなるはず。そんななかで2区に起用されるであろう田澤の力を存分に発揮させるためには、前回のような1年生を起用する冒険はしないはずだ。

 順当なら1区は、チーム3位の28分02秒52を持つ唐澤拓海(2年)になるだろう。初駅伝だった出雲は4区区間8位で全日本は走れずに終わったが、ハーフマラソン初挑戦だった11月14日の世田谷ハーフでは、1時間2分45秒で3位になっている。また春は絶好調で、関東インカレ2部では5000m、1万mともに日本人トップの3位と、ラストのキレに自信を持つ選手だ。

 そこでうまく流れを作れれば、田澤も2区で、有力な留学生がいたとしても1~2位で中継ができるはず。その後はスピードランナーの鈴木と、全日本で8区を走った長い距離に自信を持つ花尾でうまくつなげば往路優勝も見えてくる。

勝負を決める上で重要な山登りの5区は、前回走った準エースの鈴木ではなく、大坪幸太(3年)が11月の激坂最速王決定戦で学生3位の走りをしたことで安心できた。

 復路の6区は、前回57分36秒で区間賞獲得の花崎悠紀(4年)がメンバー落ちをしたのは意外だったが、同等の力を持つ選手がいるからこそだろう。7区以降も戦力は豊富で、駅伝経験がある選手ばかりで組める状態。往路がうまく流れれば、ミスのない走りで連覇を達成できそうな勢いがある。

 前回は翌年も見据えた1、2年生を6人起用した戦いだったが、今回も3年生以下がほとんどを占める"次も見すえた"チーム編成になりそうだ。もし連覇を果たせば、翌年の3連覇が明確に見えてきそうだ。

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