箱根駅伝で優勝候補筆頭の駒澤大は前回ミスした1区に注目。戦力充実で3連覇も見すえた編成もできる

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by SportsPressJP/AFLO

 前回に続く、箱根連覇を狙う駒澤大。大八木弘明監督は「前回と同様にエースを中心とした流れを大切にし、学年や今までの記録・実績にとらわれず、その時に強い選手を適材適所に配置して全員駅伝で戦う。その結果2連覇ができればいい」と力強く話す一方、「あまり優勝、優勝とは言わず、最低でも3位以内に入れればとも思っている」と控えめな言葉も。だが、それは自信の裏返しとも受け取れ、余裕さえ感じさせる。

エースとして、キャプテンとしてチームを牽引する田澤廉エースとして、キャプテンとしてチームを牽引する田澤廉 学生駅伝3冠を目標にしながら、最初の出雲駅伝では1区と4区、5区で誤算の走りが出てしまい、最終6区を走ったエースの田澤廉(3年)が追い上げたものの5位に終わった。主将も務める田澤は、そのレースで選手たちが自分に頼りすぎているのではないかと感じたという。

「もちろん自分のところにきたら流れを変える走りとか、流れを作る走りはしますが、出雲のあとには、自分だけに頼らずに選ばれていない人たちの気持ちも含め、ミスをしない走り、しっかり責任を持った走りをしなければいけないということと、『1秒でも前に』という走りをしてほしいということを話しました」

 連覇を狙った全日本大学駅伝は、5月の日本選手権1万mで日本人学生歴代3位の27分41秒68を出して田澤に次ぐ3位になった鈴木芽吹(2年)と、前回の箱根で9区を走った山野力(3年)が出雲に続いてエントリーできないという、主力を欠く大会になった。大八木監督も駅伝初出場が3人もいる状態に、目標を優勝から3位以内に切り替えた。

 レースは1区で佐藤条二(1年)が、中央大のスピードランナー・吉居大和(2年)と同タイムの区間新の1位でつなぐすばらしい走りをしたが、2区と3区で11位まで順位を下げて、トップとは2分20秒差。「6、7、8区で前に行こうと考えていた」という大八木監督もその差に、「優勝は無理かと思った」と振り返る。

 しかし、初出場の4区の赤星雄斗(2年)と5区の東山静也(3年)が区間4位、8位と耐え、出雲の2区で区間3位だった安原太陽(2年)が区間2位の走りで、青学大と同タイムの4位に押し上げるという、大八木監督の構想どおりの走りを見せた。

そこから田澤が3人抜きでトップに立ち、8区の花尾恭輔(2年)は青学大に追いつかれたものの、ラスト勝負で突き放すと優勝のゴールテープを切った。

田澤は「去年も全日本で優勝したことで、『箱根もいけるんじゃないか』と流れが変わった。今回、主力が抜けていても優勝できたのは、チームの底上げができていたからだと思う。自分からも他の選手たちに、『自信を持っていいんだ』と話して、箱根に向けて切り替えていきたい」と力強く話していた。

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