箱根駅伝の優勝は? 有力校監督5人がトークバトルでキーになる選手、目標を語る (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by KYODO NEWS

 東京国際大もエントリーメンバーについては、穴のない構成になっている。大志田監督の表情から少しばかり余裕を垣間見ることができる。

「出雲、全日本を走ったメンバーに加え、私は4年生にこだわるので、最後に伸びてきて使いたいなと思わせる選手が出てきたのは大きな力になります。山谷(昌也・3年)はふたつの駅伝を走っているし、彼の存在があるのでうちは大きくオーダーを変えることができると思っています。丹所(健・3年)は出雲後、故障して全日本では少し痛みが残っていたんですけど、今は練習を消化していますので、全体的に思ったような区間配置ができるかなと思っています」

 出雲駅伝、全日本大学駅伝で活躍した1年生の佐藤榛紀を選出できなかったことは、影響が大きいと思われるが、出雲駅伝4区5位の白井勇佑(1年)を含め、3名のルーキーが選出されており、彼らの走りに期待が膨らむ。

 順大の長門監督も出雲、全日本駅伝出場組の選手が全員、箱根駅伝にエントリ―されており、自信を見せた。

「これだけ1万mの記録が出ているなか、本学は記録にこだわらずに1年間、取り組んできていますし、そのなかで勝負強さとか、しっかりとチャンスをものにできた選手をエントリ―しました。3年生に力のある選手が多いので、以前、優勝争いをしていた時、クインテットと呼ばれていたのですが、彼らには『令和のクインテット』になってほしいと思います」

 クインテットとは、五重奏、5人編成の演奏という意味だが、駅伝用語に変換すると力のある選手が結集し、彼らの走りが順大の駅伝の主要メロディを担うというイメージだろうか。期待する選手は、当然だが三浦龍司(2年)だろう。

「三浦は、1万mを走っていないですが、走れば27分40秒は簡単に出てしまうと思います。三浦に期待していますが、四釜(峻佑・3年)と平(駿介・3年)は名前がしゅんすけで『ダブルしゅんすけ』の活躍がキーポイントになってくると思います」

 これから箱根駅伝まで順大がクローズアップされる際は、三浦の他にも「令和のクインテット」「ダブルしゅんすけ」がキーワードになり、何度も登場してきそうだ。

 16名の選考で苦しんだのは、東洋大・酒井監督だ。

「今年はエース級の選手の故障が長くて、非常に苦しいシーズンでした。そのなかで中間層の3年生が力をつけてきたので、この学年のエントリ―が多いです。1年生もオンライン授業で通学する時間をトレーニングに当てることができたので、例年よりも箱根に絡んでくる選手が多いのかなと思います」 

 1年生は、出雲、全日本で区間賞を獲った石田洸介、全日本5区4位と好走した梅崎蓮、吉田周がエントリ―されている。だが、東洋大は、やはり4年生の活躍が欠かせない。そういう意味では全日本大学駅伝でテーピングをしながらアンカーで走った宮下隼人(4年)が戻ってきたのは大きい。ただ、エース候補の松山和希(2年)は全日本7区13位と不安が残る結果になった。

「宮下は、全日本は、70~80%の力で8区6位でした。その後、バランスを修正して、テーピングがいらないほど回復してきています。松山は、宮下と同じように今年、出遅れているんですが、箱根2区のコース適性が非常に高いので、そこで力を発揮してほしいと思います」

 エントリ―を見ると今回は2年生と1年生が中心になりそうで次回以降、力を発揮しそうだ。

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