箱根駅伝予選会トップの明治大にいくつもの収穫。主将は「去年とは比べ物にならないくらい層の厚さはある」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

「鈴木はけっこうほかの選手とコミュニケーションを取るほうなので、同級生や下級生にも言葉で働きかけていました。それに、鈴木と同じくらいの力を持つ4年の手嶋杏承が練習でも鈴木とガチガチにやる感じになったので、それに3年生が引っ張られて......という感じで広がっていきました。それに箱根で一番悔しかったのは、1区16位の児玉真輝(2年)だったと思うので、彼はけっこう内に秘めるほうで気が強いタイプですが、その悔しさをバネにして頑張っていました」

 こう話す山本監督が夏合宿のテーマにしたのは、走行距離を増やすことだった。その基本となるのは、ポイント練習以外の日に行なうジョギングだが、これまでのような時間ではなく、距離を指示するようにした上にアップダウンのきついコースを指定してやらせた。

「予選会も去年のようにすごい記録が出るコンディションを想定するより、風が吹いて暑くなるという最悪の状況をイメージして、それに対してどうやるのかを意識させました。その上で『けっこう走れたよね』という手ごたえも得られたので。悪いコンディションでいかに走るかというのは箱根にもつながるけれど、先を見すぎて予選会で足元をすくわれないようにと、冷静にコントロールした感じです」(山本)

 そんなタフさを求めた練習と、選手たちの強さを求める意識が今回の風が強い中での予選会の結果につながった。チームトップを狙って一度は加藤を抜きながらも、ゴールラインを間違えて日本人4位に落ちてしまったと鈴木は悔しがりつつ、チームについて次のように語った。

「後半失速し始めてきた時に自分が言っていた強さが出てくるのだと思うけれど、20kmでも周りに7人が残っていたので、『本当にみんな強いな。エース級の走りが何人いるんだよ』と思いながら走っていました。去年とは比べ物にならないくらいに層の厚さはあると思うので、箱根が楽しみだなと思ったし、自分もこのままじゃすぐに抜かれるから、もっと強くならないといけないと思いました」

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