校内放送で部員募集、部員4人でのスタート。出雲駅伝優勝・東京国際大の転機と進化 (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 本来であれば昨年が出雲の初出場になるはずだったが、コロナ禍で「中止」になった。それでも伊藤が4年時に1年生だった丹所、山谷ら3年生世代が力をつけて、箱根では2年連続のシード権を確保。出雲の出場権をつかむと、今季は5000mで14分00秒前後のタイムを持つ強力ルーキーが4人ほど入学した。

 チームは次なる"進化"を目指して、今季はトレーニングと駅伝の取り組みを少し変えている。

「駅伝は自分で判断しないといけません。与えられた距離のなかでいかに自分の力を出しきるのか。練習ではA、B、Cと設定ペースの違うチームを作りますが、どこを選ぶのかは個々が決めるようにしています。やらせるものではなくて、自分が判断してやる。今回も丹所には『最初の1kmは集団についていき、後半勝負』という話をしていたんですけど、自分の判断で前半から仕掛けて、最後まで粘ってくれました」

 夏合宿もひたすら距離を踏むのではなく、距離走、クロカン走、スピード練習をバランスよく行なうようにしたという。

「昨年までは月間距離を目標にしていた部分があったんですけど、秋にへばって、全日本でうまくいかなかったりしたので、ちょっと変えてみました。多い選手は月間800~900kmで、少ない選手は600kmほど。そのなかで故障のあった山谷が夏合宿からよくなってきたんです。AとBの両方のグループで調整して、体調を上げてきた。彼が戻ってきたのがチームにとって大きかったですね」

 さらに今季は佐藤、白井らスピードのある1年生が加入。箱根予選会がないこともあり、2人のルーキーは距離の短い出雲をステップに全日本、箱根につなげていく形を取っている。

「1年生は夏合宿の疲労も考慮して、距離の短い出雲で2人を使いました。一方で上級生は10~20kmの距離を走るトレーニングをしていますので、両方がかみ合えば、距離が長くなっていく全日本、箱根でも上を目指せるのかなと思います」

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