箱根駅伝で活躍が期待される注目の1年生は? 出雲で好走したルーキーをチェック

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 アンカー区間では、国学院大平林清澄(1年)が好走した。2位の東洋大に12秒差の3位で襷を受けたあと、前を追走して東洋を捉えた。

「東洋大学を抜いて、その位置でゴールするのを考えていたんですが、暑くタフなコンディションと自分の実力不足で青学大と一度は抜いた東洋大学に抜かれてしまい、悔しかったです」 

 やや突っ込み気味で入ったが、それは自信がないとできない。

「前半シーズンと夏合宿は、かなりいい感じだったので、自信はありました。ただ、それが少し過信になっていたかなと思います。これまでうまくやってきたので心に隙ができていたというか......自信と過信は紙一重だなと思いました」

 平林は、美方高校出身で、ロードが強い。4月に日体大長距離競技会10000mで28分38秒88を出すと7月ホクレンディスタンスチャレンジ網走大会では28分38秒26とPBを連発。5000mも4月に13分55秒30を出した。夏合宿は、8月の月間走行距離で1000キロを越え、自信を深めた。今回の駅伝で課題が出たことにもポジティブだ。

「メンタルとタフなコンディションの対応力、そして最後の粘りが課題です。これから全日本、箱根と距離が長くなりますが学年は関係ないですし、他大学も同じ1年の若林(宏樹・青学大)、石田(洸介・東洋大)、伊藤(大志・早大)は絶対に走ると思うので、自分も練習して彼らとの差がなくなるようにしたいですね。箱根は往路で勝負できればと思います」

 6区5位、チームは4位と上々の結果を出した。考えながら練習をする意識の高さと負けん気の強さで、さらに強くなる可能性を秘めている。間違いなく将来のエース候補だ。

 存在感を示した彼ら以外のルーキーも躍動した。

 4区区間賞を獲得した早稲田大石塚陽士は4位から2位にチームを押し上げるすばらしい走りを見せた。レース後は、「初めて駅伝を走って新鮮でした。同期の伊藤(大志)と一緒に練習をしてきたので、これからもふたりでチームに貢献していきたい」と笑顔で語った。

 その石塚とともに練習し、5区で大学駅伝デビューを果たした伊藤は区間12位と苦しんだが、佐久長聖時代は、石田(東洋大)に次ぐ高校歴代2位の13分36秒57のタイムを持っていた。早大に入学後、トラックシーズンの成績はもうひとつだが、経験を積んできた。これから早稲田を背負う存在になるのは間違いない。

 また、青学大若林宏樹駒澤大篠原倖太朗もまずまずの走りを見せた。

 出雲は距離が短く、1年生のお披露目の舞台にもなっている。

 今回デビューしたルーキーたちが、11月7日の全日本大学駅伝でどんな走りを見せてくれるのか。また、次はどんな新しい選手が出てくるのか。

 彼らの走りがさらに大学駅伝界を盛り上げていくだろう。

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