箱根駅伝に向け上位候補4校を分析。優勝も狙える戦力があるのは? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 西村尚己/アフロスポーツ

 東海大は、黄金世代、昨季4年生の3本柱が抜けた後のチーム作りが最大の課題だった。

 トラックシーズンは、市村朋樹(4年)と石原翔太郎(2年)の活躍が明るい材料だった。市村は5000mに標準に合わせ、個人学生選手権ではラスト1周で切り替えて、13分45秒20の自己ベストで2組で優勝。さらに、ホクレン網走大会で13分37秒50の自己ベストを更新した。

 石原は、夏に故障するまでは順調だった。5000mは13分30秒98、10000mは28分05秒91でともに今年、自己新をマークしている。

 市村・石原頼りが大きくなるなか、ふたりを活かせるチーム作りが東海大には求められるわけだが、今のところ全体の選手層を見渡すと少し物足りない。

 4年生は主将の本間敬大を始め、昨年、全日本大学駅伝6区区間新で快走した長田駿佑も思ったような結果を残せていない。3年生も本来エースになるべき松崎咲人は、1年時の箱根駅伝で7区3位と上々の結果を残したあと、昨シーズンは故障続きで満足に走れなかった。7月の日体大競技会5000mに出場したが、14分29秒33とまだ本調子ではない。期待のルーキーとして入学してきた1年生も越陽汰は入学前の故障が響いて今シーズン、駅伝で出走するのはちょっと難しいだろう。

 ただ、2年生に勢いが生じてきているのは大きい。

 溝口仁はホクレン網走大会5000mで13分49秒60の自己ベストを出し、喜早駿介は5月の日体大競技会5000mで13分53秒42の自己新をマーク。松尾昂来は日大対抗戦の5000mで13分57秒91を出し、4月日体大競技会10000mを28分21秒80で走り、それぞれ自己新を叩き出した。ここに神薗竜馬、昨年、全日本大学駅伝1区を走った佐伯陽生らが、どこまで上がってくるか。

 東海大の浮沈のカギを握るのは、2年生になりそうだが、市村・石原に頼りすぎるとチーム全体の出力が落ちてしまう。また、スピード主体のチーム作りから長距離を走り込むスタイルに舵をきったことでチームにどんな影響が出るのか。「3大駅伝3位内」がチームの目標だが、有力校と言われているなかでは選手層において例年の厚みがなく、このまま中間層が伸びてこなければ箱根駅伝はシード権を争う展開になる可能性もある。

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