男子4×100mリレー、「ポジティブに捉えた」9レーンでの失敗。どんなリスクがあったのか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS

 これまでの日本チームで失敗がなかった1走から2走のバトンパスでミスが出たのは、驚きでもあった。だが、そこまで攻めた走りだった結果でもある。山縣はレース後こう話した。

「攻めのバトンパスをできるのが僕たちの強みですが、それはふたを開けてみないとわからない。そういう振れ幅の中で僕たちはやっているんだと改めて感じました」

 日本が途中棄権したレースは、イタリアが37秒50で優勝、イギリスは37秒51で2位と、日本チームの読みどおりだった。

 今大会はリレーのみの出場で、ここにすべてをかけていた桐生はレースをこう振り返った。

「今回は銀や銅を獲っても満足しなかったと思います。金以外は目指してなかったので、あのくらいに攻めるバトンパスが必要だったし、それをやった結果だから仕方ない。ただ(最終的な)結果を見れば、自分たちが想定したとおりだったので、僕たちも勝てる可能性があったということだと思います」

 自国開催の「東京五輪で金メダル」になれば最高の結果だったが、自分たちが目指したものは正解だったという確信。それはチームにとって、悔しさとともに得た今回の収穫だった。

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