三浦龍司が3000m障害で見せた信じられない走り。「パリ五輪でのメダル獲得」に近づいた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS

 東京五輪前には「目標は2024年パリ五輪でメダル争いに絡むこと。東京五輪ではその可能性の片鱗を見せられればと思います」と話していた三浦龍司(順天堂大)。3000m障害に出場し、その言葉以上の活躍で爪痕をしっかりと残した。

世界の舞台でも動じないレースをした三浦龍司世界の舞台でも動じないレースをした三浦龍司 シニアに上がり、世界のトップと走るのは初めてとなった五輪の舞台で、三浦は落ち着いてレースに臨んでいるように見えた。予選のレースでスタート直後から集団の中で3番手につけた三浦は、1周を過ぎてから少し前に出たが、すぐに集団に追いつかれた。先頭の1000m通過は2分42秒6と速めの展開になったが、5、6番手をキープ。残り1周の鐘が鳴ってからは、先頭を走るラメチャ・ギルマ(エチオピア)にしっかり食らいつき、2位でゴールした。

 記録は自身が6月の日本選手権で出した日本記録を更新する8分09秒92。決勝進出とともに目標にしていた8分台ひと桁のタイムを出し2位通過。日本人では1972年ミュンヘン五輪以来となる決勝進出を果たした。

「すごく緊張していましたが、スタートのピストルが鳴ったら集中できました。最初の1000mは(ペースが)速くて、周りの選手にうまく連れて行ってもらえた感じでした。2000m過ぎからは切り替えることができ、最後は一杯いっぱいだったけど、他の選手の出方を警戒しながら落ち着いて走れました」

 決勝ではどんな走りを見せてくれるのか、期待が高まるレースだった。五輪の決勝は、記録よりも順位を狙うレース展開になるが、そういったレース経験がない三浦は、前半は体力を温存させてラスト1000mに勝負をかけるだろうと思われた。

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