100mハードルの寺田明日香、陸上を離れる前の自分に決着を。東京五輪は「終わりであり、始まり」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 結果としては、6月1日の木南記念で出した12秒87で記録は止まっているが、自信は揺らがない。

「この先、うまくいけば12秒74とか75も......。6台まではわからないけど、7台の前半は出るなという感じはあります。実際、木南記念では87を出した予選より、89の決勝のほうがハードル3台目までのラップタイムがよくて、12秒6ラインに乗っていたんです。

 そのあとの4~6台目のラップタイムの山をもう少し上げて落ちていく形にしなければいけないのですが、まだその山の作り方が甘いんです。ハードル間を弾むように刻む走りをしなければいけないですし、一歩一歩研究して、細かいところまで追求していきたいと思っています」

 最後の選考大会となった6月26日の日本選手権では、優勝したものの13秒09と標準記録を突破とはならなかったため、6月29日時点の世界ランキングでの選出となった。各国最大3名で数えれば30位で、代表入りできる確信はあった。7月2日に発表された名簿の中に自分の名前を見つけた時はホッとしたと笑う。

「世界ランキングで五輪出場は大丈夫だとは思っていましたが、一緒に練習をしている山縣亮太選手が内定を決めていたので、『いいな、私も標準記録(12秒84)を破っておけばよかったな』って......。それでも、あの調子がよくない状態ながらも(13秒)0台で抑えられたので、『まあ、いいかな』と思っていました」

 ポジティブに考えられるところが寺田のよさだ。

「以前、目標にしていたロンドン五輪に出られていたら、多分ここまではやっていないと思います。でも今は、戦える楽しさがあるというか......。12秒87で走ってもまだ納得できる走りはできてないし、課題が次から次へと見えてくるし、もっと速い人たちはたくさんいるからまだやることはたくさんあると思える。引退前はそういうふうには思えなかったけど、今は課題が次から次へと出てくるのが楽しいなと思えています」

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