山縣亮太に起きていた変化。悲願の9秒台達成の舞台裏をコーチが語る (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 こう話す高野コーチは、「最近は仲間と練習していると、笑顔も出るようになった」と山縣の変化を語る。

 ひとりですべてを考え、走りを追求していると、気持ちがどんどん自分の中に入り込んでいく。そこでは笑顔が出るような余裕はなかったのだろう。だが、今は仲間やコーチがいることで心が安らぎ、いろいろな視点から自分を見ることができる余裕も出てきた。そんな気持ちの変化も、今の彼の進化を後押ししているはずだ。

 念願の9秒台と、日本新記録。山縣は「追い風2mでもいいから9秒台を出したいと思ってこの大会に臨みましたが、世界トップレベルの準決勝は風がなくてもこのタイムを出さなければいけない。もう一歩前進しなければいけないなと感じています」と先を見据える。

長い間跳ね返され続けてきた厚い壁を乗り越えた山縣は今、次への一歩を踏み出した。

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