混戦模様の箱根駅伝。区間エントリーから上位校の戦略を読み解く

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 青学大は、前回2区5位の岸本大紀(2年)がメンバーから外れて、エントリーしてきたのは中村唯翔(2年)。全日本では3区を区間3位で走り、チームを6位に上げた選手だ。

 明治大は前回と変わらず加藤大誠(2年)を2区にエントリーしてきた。駒澤大が田澤で勝負をかけているのに対し、他の3校は集団走にうまく対応して走り、最後のきつい上りで、なるべくタイム差を開けられないようにつなごうという狙いだろう。

 駒澤大は、1区の加藤がそれほどタイム差のない順位で2区の田澤につなげられれば、田澤は創価大のムルワを最初から追えるはず。序盤のうちに上位集団から抜け出し、ムルワに追いつくことができれば、競り合いながら1時間6分台前半の走りができるだろう。トップ争いはともかく、他の大学と1分以上の差を築ける可能性もある。

 駒澤大の3区には青柿響(1年)、4区は酒井亮太(2年/全日本5区2位)、5区は円健介(2年)がエントリー。青柿は1万m28分20秒42を持っている選手で、酒井とともに今のエントリーのまま走る可能性もあるが、控えには小林歩(4年/前回7区5位)や、鈴木芽吹(1年/全日本3区5位)もいるだけに、往路優勝を優先すれば当日変更も十分あり得る。

 青学大は3区に大澤佑介(2年)、4区に脇田幸太朗(2年)と大学駅伝の経験がない選手をエントリーしているが、どちらかには全日本を走っている佐藤一世(1年/全日本5区1位)を起用してくるはず。

 また、5区には前回も走った飯田貴之(3年/前回5区2位)ではなく、前々回まで2年連続で5区を走っていた竹石尚人(4年)をエントリーしている。それは、飯田を平地区間で使いたい狙いがあるからだろう。そう考えれば3区には勢いのある佐藤で、4区は飯田に変更して前を追いかけるという形になりそうだ。

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