箱根駅伝の名ランナーが続々集結。なぜSGHに入社するのか? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 こうしたスカウティング活動に欠かせないのが、西川雄一朗コーチだ。2018年にSGHのマネージャーとして入社。東海大時代は主務を務め、両角速監督とスカウティング活動をすることもあり、他チームの選手と交流が多かった。塩見監督代行も「西川の存在は大きいですね」と、語る。

「西川は年齢的にも選手との距離が近い。私にはなかなか入らない情報とか、私が選手につつけないところを聞き出してくれることがあるので、それはすごく助かっています」

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 SGHは現在、滋賀と東京を拠点に活動している。東京で活動しているのは、佐藤(悠基)、橋詰、三上、關、鈴木塁人の5名だ。いずれも青学大と東海大の卒業生だが、滋賀と東京でどういう振り分けをしているのだろうか。

「彼らはそれぞれフィジカルコーチなど付き合いがあり、たとえば鈴木はそこを生命線のように大事にしています。拠点を2つにしたのは、今までのものをなしにして新しく滋賀でやるよりも、今までやってきたノウハウを生かして自分の力を伸ばしてほしいからです」

 実業団チームには、登録は地方ながら東京に拠点を置いて活動しているところがいくつかある。選手のニーズが多様化し、チームもそれに応えるべく、活動スタイルも変わりつつあるようだ。

 SGHには優秀なランナーが次々に入社してきているが、今後、全員が成長曲線を描けるかどうかはわからない。実業団で伸びる選手、伸び悩む選手の差はどこにあるのだろうか。

「大事なのは実業団に入って、自分がどうなりたいかを明確に持っていないと厳しい。目的意識が明確な選手は伸びていきますね。学生は、箱根を目指して練習するから強くなるけど、それが終わると明確な目標がないまま実業団に入る選手が多い。そうなると伸び悩んでしまう。正直、箱根を超えるようなレースは実業団にはないですから」

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