無名と有名。ニューイヤー駅伝に挑む2人の鈴木がSGHを選んだ理由 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

青学大でキャプテンを務めていた鈴木塁人青学大でキャプテンを務めていた鈴木塁人 SGHのもうひとりの「スズキ」である鈴木塁人は、2020年1月の箱根駅伝で優勝した青学大の主将だった。そんな鈴木が実業団のチームを選ぶ際、最も重視したのが「環境」だった。

「大学で継続してやっていたトレーニングを続けたいと思っていましたし、練習についてはこうしたら強くなれるというのは見えてきたので、その考えに寄り添ってくれるチームがいいなと思っていたんです。そうしたらSGHは僕の考えを尊重してくれて......すごく心強かったです」

 そしてもうひとつ、心を動かした要因があった。

「同期の存在ですね。自分の成長はもちろんですけど、ニューイヤー駅伝も頑張りたいと思っていました。でも、駅伝はひとりで強くするのは難しい。そうしたら關(颯人)や阪口(竜平)も来ると聞いたんです。強いチームに行くよりも、これから強くなるチームの一員になることに魅力を感じていました。SGHも絶対に強くなると思ったので、それも決め手になりました」

 じつは、高校進学の際も「これから強くなるチーム」を選んだ。

「高校進学について、強いチームに行くより自分が強くしたいと思って流通経済大柏を選びました。逆に大学は、高校の時にそうやったので、今度は強い先輩がいるところでやりたいと青学を選びました」

 強くしたいと言えるのは、自信があるからだ。鈴木は大学時代、個人の優勝経験はないが、大学1年で出雲駅伝を走り、大学2年時はチームの箱根4連覇に貢献するなど、駅伝で結果を出してきた。そういうなかで、自信を確固たるものにしたレースがあったのだろうか。

「レースというより、青学で4年間やれたことがすごく自信になっています。実業団に入っていろんな人と話をするなかで、僕らの大学は生活面、競技面、すべてにおいて一番厳しいところでやってきたというのがわかったので......(笑)」

 鈴木塁人にとっては、青学大で主将を務めたことも大きな経験となった。

「いろいろ言われて居心地悪いなって思うこともありましたが、チーム全体を見渡してやってきたので、視野が広がりました。そういう経験があったからこそ、今は自分のことに集中して、競技に打ち込めているのかなと思います」

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