無名と有名。ニューイヤー駅伝に挑む2人の鈴木がSGHを選んだ理由 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 鈴木はいま5000mに集中している。今年の上半期はコロナ禍の影響で全体練習ができないなか、個人で課題に取り組み練習を続けた。自粛期間が明け、最初のレースとなったホクレンディスタンス網走大会の5000mでは13分47秒で自己ベストを更新した。

「試合がなくなってモチベーションが低下したこともあり、急ピッチで試合に合わせて出た自己ベストなんです。自分の力を100%出せたかというと、位置取りとかペース配分も含めて物足りない部分があったので、すごくうれしいという感じではなかったです」

 鈴木勝彦は今、急激なスピードで成長を続けている。自分の選手としての理想像をどう考えているのか。

「まだマラソンは考えていないです。前はロードに対する苦手意識があったんですが、昨年の全日本実業団のハーフで61分台を出せたので、根気強くやれば苦手意識はなくなると実感することができました。今は自分の強みを出せる5000mでやっていきたい。そうして陸上ファン以外の人にも名前を覚えてもらい、陸上選手なら鈴木勝彦と言われるような選手になりたいです」

 チームはニューイヤー駅伝の出場が決まっている。鈴木勝彦にとって、駅伝はどのような位置づけなのだろうか。

「学生の頃から見ていましたし、ニューイヤーで活躍したいと思っていました。個人的には家族や友人に走っている姿を見てもらいたいと思っていますし、チームとしては3位以内が目標です」

 前回のニューイヤー駅伝で7区を走り、区間12位とまずまずの走りを見せた鈴木勝彦だが、初めて実業団駅伝を走り感じたことがあった。

「あらためて箱根駅伝の大きさを感じました。ニューイヤー駅伝もゴール時点には人がいますが、途中区間はほとんどいないですし、これが箱根との差だなって......。もっと注目してほしいですし、たとえば1区の選手の登場シーンをプロレスのように派手な演出をするとか。演出がうまいスポーツは盛り上がると思っているので、そういうのも考えてほしいと思いますね」

 24歳の若い主将のチャレンジはこれからも続いていく。

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